近年、日本各地で集中豪雨や台風による水害が多発しています。特に都市部や川沿いのエリアでは、短時間の豪雨によって排水機能が追いつかず、床上浸水などの被害を受ける住宅も少なくありません。このような被害を受けた住宅は、資産としての価値が下がる傾向があり、売却を考える際に大きな壁となることがあります。この記事では、床上浸水を経験した家の資産価値がどのように変わるのか、売却は可能なのか、そしてどうすれば適正価格で売却できるのかを詳しく解説していきます。
まず、床上浸水とは何かを明確にしておきましょう。床上浸水とは、住宅の床面を超えて水が入り込む浸水のことで、床下浸水よりも被害が大きくなります。床上まで水が入り込んだ場合、床材や壁紙、断熱材、家具、家電など多くの設備が水に浸かってしまい、家そのものの機能性や衛生面、安全性が大きく損なわれます。さらに、カビや悪臭の発生、構造材の腐食、電気系統のトラブルなど、目に見えない被害が長期的に残ることもあります。
こうした床上浸水の被害を受けた住宅は、当然ながら物件としての「市場評価」が低くなります。なぜなら、将来同じような被害を受けるリスクがあると判断されるためです。買い手にとっては、「再び床上浸水が起きるのではないか」「見えない損傷があるのではないか」という不安がつきまとい、敬遠される対象になりやすくなります。そのため、一般的には床上浸水の履歴がある住宅は、周辺の同等物件と比べて1割〜3割程度安い価格でしか売れないことが多いとされています。
さらに厄介なのが、売主には「告知義務」があるという点です。つまり、過去に床上浸水の被害を受けたことがある場合、それを隠さずに買い手に伝える義務があるのです。これを怠った場合、売買契約後に「重要事項の不告知」として契約解除や損害賠償請求につながる可能性があります。よって、床上浸水の事実がある場合は必ず不動産会社に報告し、買主にも誠実に伝える必要があります。
参考サイト:家・マンションの査定・売却口コミ体験談
では、床上浸水を経験した家を少しでも高く、そして早く売るにはどうすればいいのでしょうか?そのためには、まず「復旧・補修状況」をしっかりと整えることが大切です。
浸水被害があった場合、表面的な修繕だけでなく、構造部分や電気系統、防水処理など、専門業者による総合的な修復が行われているかどうかが買い手にとっての安心材料になります。もし、工事業者の修繕報告書や写真、保証書などが残っていれば、それを提示することで「しっかり対応されている物件である」と証明でき、買い手の不安を和らげることができます。